いわゆるコンサルティングでも、研修でもない。経営課題と人材育成課題の2つを同時に解決するプロジェクトコーチング®。

経営課題を自社のリソースだけで解決できない場合にコンサルティングを依頼することがありますが、提案・助言型の「いわゆるコンサルティング」には限界があると感じていました。コンサルタントが提唱する成長ストーリーや戦略がどんなに素晴らしくても、膨大なマーケティングデータがあっても、実践のプロセスで起きる様々な問題に対してつぶさに対応する能力が現場担当者に備わっていなければ、まさに絵に描いた餅で終わるのです。また、コンサルタントがひとたび離れてしまえば、「考えられない、実行できない組織」に逆戻りすることもよくある話です。

一方、人材育成に関する課題解決についてはどうでしょうか。様々な研修を導入して教育体系を構築しても、OJTを推進させても、経営者、人事担当者の悩みは尽きないものです。とりわけ研修については、「研修自体は悪くない。個々の成長もつながっていると思う。しかし実践で役立っているのかまでは追い切れていない。学びの更なる定着方法はまだ他にあると思う」といった声をしばし耳にします。わたしたちは研修そのものを否定しているのではありません。教育体系が充実することには大いに賛成です。しかしながら、研修で学んだ事が実践に活かせなければ意味がありません。したがって多くの企業は研修で補えない部分をOJTによって補完するわけですが、現場任せで行われる大小様々な学びの状況を経営者や人事担当者が把握するのはとても難しいことです。

プロジェクトコーチング®が生まれた背景。

SimmeLはこういった経営課題と人材育成課題の2つを同時に解決する方法を2014年から2年間に渡って探ってきました。そこで生まれた方法論が「プロジェクトコーチング®」です。プロジェクトコーチング®の詳細は後述するとして、これが生まれた背景について少しお話ししたいと思います。

SimmeLの代表の大隅迅人は豊田自動織機、アビールコンサルティングにてBPR、SCMコンサルティングや戦略コンサルティングに従事してきました。大手顧客企業の営業管理や生産管理といった領域において課題の発見から打ち手の勘案・実行・検証に至るまで包括的なソリューションを提供。緻密な課題解決プロセス設計と確実なプロジェクト推進によって、顧客企業に確かな価値を提供してきました。一方、沼田利和はグラフィックデザイン、ウェブデザイン、システム開発を手がけるNineAXISを2003年に創業。のべ500社にも及ぶ顧客企業にソリューションを提供してきました。クリエイティブ領域で14年間培ったデザイン思考と課題解決のアプローチはコンサルティング領域でも力を発揮。自由で創造的なビジネスデザインは顧客企業の意思決定に寄与し、数々の課題解決を実現してきました。

しかしすべてのプロジェクトが100%の成功を収めていたわけではありません。提言型のコンサルティングの場合、プランが描けても「顧客企業の遂行能力が伴わない」「悪しき企業文化が遂行を遅延させる」などの問題にしばし直面したのです。「マインドセットする」「教育し、学びを定着させる」「チームの良き文化を醸成する」といった別のミッションの遂行が求められました。「顧客企業の持続的成長に寄与するには、いわゆるコンサルティングだけでは足りない」。2人の課題認識の一致がプロジェクトコーチング®という手法を形作るきっかけとなったのです。課題解決と価値創出に向けて緻密に業務を設計し、確実に推進していく大隅の力。そして自由で創造的なビジネスデザインとそれを形作る沼田の力。プロジェクトコーチング®は異なるバックグラウンドを持つ2人の知見と能力が最も発揮されるソリューション形態でもあります。

「協働」と「導育」プロジェクトコーチングが持つ2つのコンセプト。

わたしたちは、プロジェクトコーチング®(Project Coaching)を、「プロジェクトのゴール達成のためのコンサルティングと、プロジェクトメンバーの教育を同時に実現する技術であり、組織パフォーマンスを向上させる組織開発技法」と定義しています。 コンサルタントが「解」を与えるのではなく、「メンバー自らの意思ある解」によってプロジェクトを成功を導く「協働 ※1」「伴走」「導育 ※2」を行います。

※1 「協働」・・・SimmeLのスタッフがプロジェクトメンバーとして参画し、プロジェクトが掲げるゴールに向けて、立案から推進、分析、改善に至る一切をチームメンバーと共に行います。

※2 「導育」・・・コンサルティングのように「解」を提供するのではなく、研修のように「解」を教えるのではなく、プロジェクトメンバー自らが「解」に辿り着くよう「導き教える」という意味合いから、わたしたちは「導育」と呼んでいます。

したがってプロジェクトコーチング®は「導育を伴うプロジェクト参画・協働型コンサルティング」であり、「コンサルティングを伴う究極のOJL」と言い換えることもできます。これが、SimmeLのプロジェクトコーチング®です。

※OJL・・・On the job learning。業務を通しての学び。OJT(On the job training)とは異なる。

プロジェクトコーチング
プロジェクトコーチングのSimmeL

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視点学習と視点管理を取り入れたプロジェクト推進。

「協働」と「導育」を具体的に理解していくために、わたしたちが大切にしている「視点学習と視点管理」についてお話ししたいと思います。優れたビジネスパーソンの本質は何か?について考えたとき、様々なキーワードが頭に浮かんできますが、わたしたちは「優れたビジネスパーソンはWHAT構築とHOW構築ができる」という2点に集約されると考えています。

いずれも養うためには様々な取り組みが必要なのですが、わたしたちは視点学習と視点管理から着手しています。視点は思考と行動の起点となりますから、「視点を養うこと」と「プロジェクト、タスク毎に求められる視点を管理、共有すること」はプロジェクトをゴールに導くためにも、教育のためにも良いと考えています。提案・助言型の「いわゆるコンサルティング」において、コンサルタントが提供する「解」に腹落ちしないのは、結論を導き出すための大小、正否、様々な視点が省略されているためでしょう。天から振ってきたような結論よりも、目指すゴールをたぐり寄せるために必要な視点を学び、思考と行動に結びつけていくことが重要なのです。

協働と導育のメリット。

視点学習と管理の重要性がお分かりいただけたようであれば協働と導育のメリットは明らかです。課題に対してすぐさま「解」を与えてしまえば視点を養うことができないため、メンバー自らが解にたどり着く視点を都度教え、思考と行動に伴走するための協働なのです。プロセスを共有するからこそ育成効果が飛躍的に高まり、メンバー自らが決断した「意志ある解」だからこそ、メンバーに当事者意識も生まれ、プロジェクトを強く推進できるのです。

また、第三者のわたしたちがプロジェクトに伴走するからこそ進む社内調整や企業文化変革があるということも協働のメリットでしょう。社員だけでは進言しにくいことも第三者のわたしたちが代弁することにより、経営者と社員の関係を損なうことなく迅速な解決に至ることもありますし、社員だけでは馴れ合いになってしまうことをわたしたちが防ぐこともできるのです。

コンサルタントコラム:「プロジェクトコーチング®とは」もご参照ください。